孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

「縁を切るって……母さん、なんでそんなこと聞くの?」


思ったよりも低い声が出た。


「もちろん、一般的な女性を知るという勉強のために付き合っているのはわかっているわ。だけどもう十分でしょう。早く離れなさい」

「………」


母親に、杏実のことはただの友達だと事実を伝えてある。


「一般階級の子とお付き合いがたくさんあるのは喜ばしいことよ。雪には男の子のお友達がたくさんいて、私はとても嬉しいの。人望が厚い証拠だものね」


それでも、この人が杏実を疎ましく思っているのは杏実が女だから。

それに、おれが他の男友達よりも、杏実と親しくしているのを知っているからだ。



「だけど加藤さんは別。学校では、みんなに付き合っていると思われているようね。天沢家の息子が一般の子と付き合うなんて、嘘だとしてもとんでもないことよ!」
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