孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
窓側の席。

頬杖をついて、外を眺めている男の子がいる。



差し込む夕陽が逆光になって、顔ははっきり見えないのに雰囲気で誰だかわかってしまう。

誰にも真似できない、唯一無二の高貴なオーラ。

圧倒的で、だけど、どこか儚はかない……。



「走るの速いね、かとーあみちゃん」



くす、と笑いを含んだその声に、わたしの心臓はいとも簡単に反応する。



「っえ、う、ていうか、まだ残ってたの、本領くん」

「帰ろーと思ったんだけどね。景色眺めてたら、なんか必死に走ってくるかとーあみちゃんが見えて」


「ひっ、見てたんですか」

「転ばないかひやひやした」


「っ、そんなしょっちゅう転んでるわけじゃないよ……?」

「そう、ならよかった。まあそれで、おおかた、忘れ物でもしたのかなあと」



あ、合ってる……。



「わざわざ戻ってくるってことは、かとーあみちゃんの苦手な英語の課題かなあとか」

「っなんで、わか……」


「あはは、合ってたんだ。この辺はカンだったんだけど」


「本領くん、千里眼の使い手かなにか……?」

「だったらいいのにね」
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