孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「なっ! ええと、ごめ……!」
天下の本領くんを跪かせてしまったっていう焦りと。
まさか拾ってくれるとは思ってなかったとまどいと。
ぜんぶ合わさってパニックになる。
結局、わたしが拾ったのは5枚くらい。
あんなに散乱してたプリントを、ものの数秒で集めてしまった本領くんは、机の上でトン、と揃えて差し出してきた。
「あ、ありがとう……」
にこ、と柔らかい笑顔を返されて、今度こそ心臓がもたないと思った。
夕陽が差してて助かった。
今絶対顔が赤いもん。
これ以上かき乱さないでほしいのに……。
そんなことを思う時点で手遅れだって。
夕陽に照らされる横顔を見て
――気づいてしまった。