溶け合う煙
テラスにあるソファーにエスコートされ二人並んで座った。

「理沙、どうしたら君はYesと言ってくれるんだ?」

トーマスの手が私の頬に触れる。

「Yesと言えない理由を知りたい。」

「理由も何も…。今朝、知り合ったばかりだし…。お互いのこと何も知らないじゃない。断る理由も、付き合う理由も見つからないわ。」

正直な気持ちを伝える。

「…断る理由がないのなら。…断る理由ができたら言えばいい。それまでは…」

トーマスは私のグラスを取り上げ、覆いかぶさるようにサイドテーブルに置くとそのままキスをした。

そして、キスは次第に深くなる。

「好きだ。出会ってから今までの時間よりも、これから君と過ごす時間を大切にしたい。」

トーマスはキスを続ける。

「…お願いだ。このまま、僕を受け入れて欲しい。」

「…ん、ぁあ…。」

彼の甘いキスに声が漏れてしまう。

今までの人生でワンナイトなんて経験したことがない。
そういう事に縁がなかったのではなく、そうならないようにしていた。

だけど、彼となら…。
…もし、今までの口説き文句がすべて嘘だとしても、彼とならワンナイトもありかもしれない。

トーマスは私を抱き上げるとベッドルームへと連れて行き体中にキスを続けた。

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