溶け合う煙
「僕を受け入れてくれてありがとう。今、とても幸せなんだ。」

「会ったばかりの人と、こんな経験なんて無いの。恥ずかしい…。」

トーマスは自分の煙草を消すと、昨晩のように甘いキスを始める。
テラスの窓に映る私の首筋やデコルテには、彼がつけた印がたくさんあった。

「愛してるんだ。このままこのホテルで結婚式をしたい。」

真剣な顔で見つめてくる。

クスっ。

「それはやり過ぎよ。」

今度は私からキスをした。

「よし、なら先に子どもを作ろうか。」
と言って、昨晩と同じように抱きかかえ、ベッドルームへと連れて行こうとする。

「あー、待って!これ!」

火が付いたままの煙草を彼に見せると、飲みかけのコーヒーの隣にある灰皿に手が届くようにしてくれた。

コーヒーの湯気と煙草の消えゆく煙が絡み合い、溶け合っていくようだった。
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