甘く、溶ける、君に。



私は至って、冷静に。

驚いて、少し動揺したのを気付かれないように。


もしかして、まだ道がわからない?



だから待ってたのかな。それとも、このマンションについて何か聞きたかったとか。



朝に私を待つくらい急な用だったに違いない。




「……いや、ただ学校、遥乃と一緒に行きたかっただけ」




当然でしょ、とでも言いそうな顔で当たり前のようにそう言って。


千輝くんは当たり前にそう言ったけど私には当たり前なんかじゃなくて。



ただ一緒に学校に行きたい、なんてそんなこと言われるとは思ってもいなくて。



ただ私と登校がしたいから、ここで待ってたってことになるけど……そうなの?


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