甘く、溶ける、君に。



「……嫌?」



……っだから、その聞き方はずるいの。

きっと千輝くんは、嫌じゃないってことわかって聞いてるの。ずるい、どこまでも。



優しさとずるさは、癖になる。

嫌じゃないってわかっていて、こう聞いてくるの、千輝くんは。




「……嫌じゃないよ、」


「じゃあいこう?」



歩き出す千輝くんに、ついていく。


ここで止まって千輝くんに並ばない選択肢、私には選べないから。

高さの全然違う肩に並んで歩く。


見上げないといけないくらい、千輝くんの身長は高い。


いつのまにこんな成長したの。

私の知らない間に、こんなにも男の人になっていて、知らないところ、たくさんあって。



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