甘く、溶ける、君に。
「もしかして別の理由があるかと思ったけど……ごめん、ほんと」
「そんなに謝らないで。大丈夫、一人で暮らすのもけっこう楽しいよ」
半分本当で、半分嘘。
あの愛のない家にいるくらいなら一人でいたほうがマシ。でも、一人は寂しい。誰かといたい、愛されたい。
「……ったく、ほんと、今すぐ抱きしめたい」
「……抱きしめてよ、」
「ふれないよ、遥乃には」
「うん、しないで」
「わけわかんねえ」