甘く、溶ける、君に。



「出してないよ。……ほんと、手出したくなるけど」


「遥乃が? 珍しい」



千輝くんの隣にいると、自分がしんどくなってくる。


触れたいと思ってしまうから。


自制しなきゃいけないのが、気を張ってしまって疲れる。



「幼なじみなの。昔のまま、優しくて」


「……あ、それって遥乃の隣に引っ越してきたっていう、あいつ?」


「……そう、私のキラキラな思い出を作ってくれてる人」



そうだ、見たことあるんだ、田邊は。

ちょうど昨日の朝。私と千輝くんが再会したとき、田邊もいたんだ。


思わず固まってしまった昨日の朝。


千輝くんは私の感情を表に引っ張り出してくる。その様子を、間近で見てたのは田邊。




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