甘く、溶ける、君に。


「……好きなの? なんだっけ、井上くん? のこと」


「いや、好きとかじゃないけど……」



机の横に、リュックをかける。

体ごとこちらに向けている田辺と、顔だけ田邊の方を向ける私。


田邊は面白がっているのか、質問を重ねる。



「けど? 何かあんの?」



なんだろう。自分で言っておいて、何かあるのだろうか。けど、何?



……そもそも、好きじゃないって本当?



好きって、なんだっけ。




「けど……怖い、かな」



< 121 / 372 >

この作品をシェア

pagetop