甘く、溶ける、君に。
「……好きなの? なんだっけ、井上くん? のこと」
「いや、好きとかじゃないけど……」
机の横に、リュックをかける。
体ごとこちらに向けている田辺と、顔だけ田邊の方を向ける私。
田邊は面白がっているのか、質問を重ねる。
「けど? 何かあんの?」
なんだろう。自分で言っておいて、何かあるのだろうか。けど、何?
……そもそも、好きじゃないって本当?
好きって、なんだっけ。
「けど……怖い、かな」