甘く、溶ける、君に。


なにそれ。なにそれ。

それは確かに、間違ってない。



先輩のこと、恋愛的に好きなんて思ったことない。

他の人に対しても、もちろん田邊にも。



だからなの? だからこういうことが平気でできるの? 好きだったら、できない?


……私が千輝くんとこういうことできないのは、好きだから、なの?



違う、そうじゃないよ。千輝くんとできないのは昔の、私の唯一キラキラした思い出を壊したくないから。綺麗なままでいたいから。



汚い私の、唯一だから。


だから、だよ。



「多分、すぐ気づくよ。表情、違う」


「……や、あ……っん!」



先輩の手が、生きているかのように動く。

私の好きなところに、動いていく。


癖で勝手に声が出る。声はわざと出してると思ってた。でももう癖になってるし、身体は大きく跳ねるように反応する。



もうなにも、考えられない。

あとは先輩に身を委ねて、快楽だけに集中して身体を任せて。



全部、愛してもらう。千輝くんではなく、先輩に。




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