甘く、溶ける、君に。


「……うん、先輩のとこ行ってた」



話したいことって、このことなのかな?

私がいないことで不便でもあった?


千輝くんに対して嘘をつく必要もないから嘘はつかないし……。

聞いてはいるけど多分、なんで私が帰ってないのか、千輝くんならちょっと考えればわかるだろうし……。


一人暮らしの女の子、帰らないのは実家に戻ってるとかいろいろあるけど、私に限っては一つしかないってこと千輝くんもわかってるはず。


立ったまま。私の方を向かないまま。
千輝くんの表情は見えなくて、どんな顔をしてるのか気になる。



「……やめねーの、そういうの」



「……やめ、ない」



「……俺だったら、」



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