甘く、溶ける、君に。
「……神崎先輩?」
確信はある。あるけど一応確かめるように恐る恐る聞くと、返事より先に振り向かれた。
目が合って、顔を認識して、やっぱりそうだって。
神崎先輩だ。
ベージュの髪、相変わらず整った容姿。
先生もいないのにこうやってソファーに座ってるのって、
なんだかそこが自分の特等席だと言わんばかり。
よく来るのかな。確かに神崎先輩、こうやって授業はサボってそう。勝手な想像だけど。
「……遥乃? どうしたの?」
「ちょっと、授業受けたくなくて」
「珍しいね、真面目な遥乃が」