甘く、溶ける、君に。
「……って、冗談。入ってきた時から明らかにいつもと違う顔してる。俺で良ければ話聞くけど?」
神崎先輩が体勢を戻して顔が離れる。
もうさっきの意地悪く笑った顔はなく、穏やかな表情になっていた。
意地悪く笑ったのは顔を寄せた一瞬だけだった。
その代わりにソファーの自分の隣の空間をポンと叩く。きっとここに座れという意味で。
やっぱりさっきは私を試していたのかな。私に何かあること、分かった上で言って。