甘く、溶ける、君に。
「顔に出てたよ? 好きだって顔に書いてあった」
確かに、この間先輩に会った時言われたっけ。
『好きなの?』とも聞かれて、その時は否定したけど、きっと好きだった。
先輩は全部気がついていてわかってて、気付こうとしなかったのは私だけだった。
あのときは、気付きたく、なかった。
「俺でもわかるって相当だと思うよ。遥乃が幼なじみくんのこと好きなのに嘘はないよ」
「……そう、ですかね……」
「うん。だからちゃんと言ったほうがいいよ、茶髪くんには」
_______茶髪くん。田邊のことだ。
この学校で田邊のこと知らない人はいないだろうし、
例によって先輩は田邊のことも周りの女の子から聞いてるだろうから。
先輩には田邊の名前を言っただけで特徴が出てくる。