甘く、溶ける、君に。



それもきっと、終わり。

私が終わりにさせた。


先輩との時間、嫌いじゃなかった。



こうして先輩から離れることができるのは、少しはまともになった証かな。


実際、離れられるかわからないしまだ何も始まっていないけれど。

私が今から、まともにならなきゃ。その、始まり。



「……幼なじみに飽きたら、俺んとこ来てもいいよ」


「……先輩は一生変わんなさそうですね」


「それ、褒め言葉として受け取っていい?」



「好きにしてください」と、そう呟いてからゆっくり落とされた触れるだけのキス。


深くて激しいキスも、先輩とは多くした。



終わり。これで。



後悔なんてない。感謝しかない。


前に進もう。まだ、決心しきれないところもあるけど先輩も応援してくれてる。



だから、進もう。



最後に先輩としたキスは、今までよりずっと優しくて甘かった。





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