甘く、溶ける、君に。



「あ、遥乃。起きた?」



ぼんやりとした思考はその声ではっきりとする。

声のした方へ顔を向ければ、キッチンに立って顔だけこちらを向けている千輝くんにピントが合う。


目が合って、千輝くんを認識する。



「おはよ。ごめん、俺が昨日離さなかったみたいで。

俺のベッドは……ちょっと、色々やばいからソファーに運んだんだけど、体痛くない? 大丈夫?」



すっと言葉を紡いでいく千輝くんは、
表情からもすっかり元気になったということがわかる。



昨日も風邪を引いているにもかかわらずずっと千輝くんのペースだった。



けど今は昨日とは違って辛そうな表情も全くなくて明るい表情で、また違う余裕を感じさせる。

昨日の熱っぽさとは一点、今は爽やかさが溢れている。



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