甘く、溶ける、君に。
どっちにしても、私は千輝くんより優位に立てることはないけれど。
それで千輝くんは、あのまま寝ちゃった私をソファーまで運んでくれたんだ。そのおかげで全然どこも痛くない。
「大丈夫だよ、ありがとう」
「こちらこそ。遥乃のおかげでもう元気だから。軽くだけど、朝飯作ってるから食べてってよ」
キッチンとソファー、少し距離があるのに、はっきりと千輝くんが優しく微笑んだのがわかる。
その優しい笑顔に、私は一番弱い。
「じゃあ、お言葉に甘えて……ありがとう」
「どういたしまして?」
いい匂いがしてきた。
千輝くん、料理できるって言ってたよね。
朝ごはんってなに食べるんだろう。あんまり想像つかない。
誰かにご飯作ってもらうのなんていつぶりだろう。匂いだけでもう楽しい。