甘く、溶ける、君に。
「……先輩、おはようございます。学校いきましょう?」
静かに言うと、先輩はふわふわのベージュの髪を揺らしてこちらを向いた。
そしてゆっくりと目を開けて、目が合う。
「おはよう遥乃ちゃん。今日もかわいいね」
すっと先輩の腕が伸びてきて、後頭部に手が回ったかと思えば一瞬で引き寄せられて、重なるのは唇。
軽い、ソフトなキスだけど、突然のキスに私は体勢を崩してしまう。
そのせいで私は、先輩を押し倒しているような体勢になってしまって。
先輩の綺麗な顔が、目の前に現れる。
「朝から積極的だね、遥乃」
「……先輩のせいじゃないですか。シャワー、借りてもいいですか?」
「ん、どうぞ〜。朝から遥乃ちゃんと楽しめないのは残念だけど」
動じずに、体勢を直しながら先輩に尋ねた。
神崎先輩の言うことは無視して、私はもう使い慣れた神崎家のお風呂場に向かった。
視界の端に映った先輩は、私に向かってヒラヒラと手を振っていて、ベージュの髪が太陽の光でキラキラして見えた。