甘く、溶ける、君に。
「俺、クリスマスに欲しいものがある」
「……え、千輝くんってプレゼント自己申告制のタイプ?」
「それ」
「へ?」
2学期の終業式、帰り道。隣を歩く千輝くんと繋ぐ右手は冬の温度に完全に負けている。
付き合い始めてもうすぐ半年。2人で迎えるはじめてのクリスマス。
2日後に迫るクリスマス、もちろんすでにプレゼントも用意して、何千年も前の偉人の誕生日に絶賛乗っかろうとしているところで。
急に口を開いた千輝くんに、私は頭にハテナを浮かべることしかできない。
それ、って、何も伝わってこないのだけど。