甘く、溶ける、君に。
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「死ぬかもしれない」
「急にどうした」
机に突っ伏して、空にひとりごとを投げたつもりが、届ききらなかったみたいだ。
空より先に隣の席に届いて、音が返却された。まだまだ残暑の厳しい9月。太陽の熱で溶かしてほしかった空虚な戯言は、いつまで経っても隣の席のこの男に掬い取られてしまった。
顔の向きを机真正面から横にして平行にすれば、いつも通りの茶髪猫目が目に入る。頬杖をついて同じように私を見ている。
「俺は遥乃ちゃんに死なないでほしいけど、模試の結果悪かったりした?」
「そんなことない。本命はA判定」
「死ぬ必要がなさすぎるだろ」