甘く、溶ける、君に。



ふと隣から、そんな私の様子を見たのか声をかけられた。小さい声で、私にしか聞こえないような声。


声のしたほうへ、右隣に視線を向けると、同じように私の方を見ていたその人とバチっと目が合う。


それからその人はふっと口角を上げて、また口を開く。



「まぁ今日あったかいし、この授業いつも眠いしねー。……あ、それとも昨夜はそんなに神崎先輩と盛り上がった?」


「今日先輩と一緒だったの見てたの?まぁ別に、覚えてないよ」


「ははっ、本当淡白だなぁ遥乃は」



茶髪で、猫目。左耳から、ちらりと見えるフープピアス。


シャツのボタンは上から二つもあいていて、学校指定のネクタイもしていない。



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