甘く、溶ける、君に。


ぷいっと顔を背ける絵凪に、田邊は口角を上げ切らず小さく笑う。


絵凪と田邊は普通に友達として、仲がいいと思う。

あまり男の子が好きじゃない絵凪はきっと私がいなければ田邊と話すことはなかったと思うけど、
私とは違った意味で、どこか波長が合っている気がする。


田邊に純粋な女友達なんて、当然ながらいないから貴重な存在なんじゃないかと密かに思ってる。


もちろんこの生粋の遊び人である田邊と、彼氏にゾッコンな絵凪が恋愛的に何かあるとは思えないけど。



「あ、そういえばさ!田邊くん関係で呼び出されちゃった遥乃に朗報!」



ふと思い出したように発せられた明るい声。

何か発見したみたいに、目をキラキラさせて。
身を乗り出す絵凪を見てると、絵凪は私の敵じゃないってところだけが周りと違うだけで、噂話が好きな女子たちとあんまり変わらない。


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