甘く、溶ける、君に。






嵐のように去っていった絵凪に置いてかれた私は一人で昇降口まで歩いていた。



「今日彼氏の部活がなくなって会うことになったの〜!」


「雨は部活なくなる可能性あるから嬉しいけど湿気だらけで髪ボサボサだよ〜!」


「でもやっぱり会えて嬉しいからいいや!うふふ!てことでばいばい!」



彼氏から帰りに連絡が来たのか、急に彼氏と会うことになったらしい絵凪は騒がしく慌ただしく教室から誰より早く飛び出していった。


多分、私のリアクションには興味がなくて言いたいことだけ言ってっただけなんだと思う。


言いたいことだけ言って、鬼のようなスピードで彼氏に会いにいった絵凪を思い出すとちょっとだけ笑えてくる。本当に微笑ましい。



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