甘く、溶ける、君に。


その子たちは決して私に話しかけることはしなくて、私と交わることはない。


だけど、向こうは私のことを知っていて、きっとあることないこと噂話で楽しんでいる。



私への一方通行、それは何も生まない無意味な矢印。



階段に差し掛かって、すべての段を下り終えた時、昇降口の入り口に、人が通れないくらい女子が集まっているのが見えた。



もう一つ出入口があるからいいものの、あんなところで集まられると困る。


きっと何かがあって、何か言っているのだろうけど、アスファルトを叩きつけるそらの雨のせいで周りの音はすべて消えていく。



< 64 / 372 >

この作品をシェア

pagetop