甘く、溶ける、君に。



迷惑ではあるけれど、私には関係ないこと。



下駄箱から履き慣れた黒のローファーを取り出して腰くらいの位置から落とす音も、きっと雨の音で周りには全く聞こえていない。



さっさと帰ろうと、歩き出す。



屋根の下、続々と傘をさした生徒が外に飛び出していく。


私も同じように持ってきた折り畳み傘を広げようとするけれど_______それは突然私の名前を呼んだ、その声によって止められた。





「______遥乃!」






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