甘く、溶ける、君に。


「じゃあさ、今日は俺にしない?」



そしてこの男も、"恋人に昇格しない関係"の例外ではない。


なんだかんだ一年も二年も同じクラスで、今も席が隣。



……腐れ縁。そんな感じで、彼もまた、私の寂しさを満たしてくれる一人。



一年のときからこの関係は続いている。


どうやって始まったのか……私が遊んでいると噂を聞いて声をかけてきたのか、それともただ私と遊びたかっただけか。


よく覚えていないし、過程はどうだっていい。


きっとそれは田邊も同じ。


田邊も私も決して相手に本気にならない、価値観が似ている。だから一緒にいて楽。




「いいけど、今日スーパーに買い出しに行く日。いい?」


「いいよ、つか、ついてくし」




「じゃ、決まりだ」と、私の髪の毛に自分の手を通す田邊。

私はそれ以上何も言わないで、特に写すつもりのない黒板をぼーっと眺めていた。




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