実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「ライラがお姫様なんて、未だに信じられないよな」


 エメットがクスクスと笑い声を上げると、アダルフォとエリーがほんのりと顔を顰める。わたしのことを軽んじていると受け取ったらしい。


「だよね! わたしもそう思う」


 心からの共感の意を示し、目配せをすれば、二人は表情を和らげた。


(危ない危ない)


 エメットはわたしと同じ平民だ。いや、わたしはもう平民じゃないんだけども!マナーとか王族への敬意が云々とか、言っていいこと悪いことがあるなんて知りはしない。


(わたしが気を付けないと)


 大事な幼馴染を傷つけたくないもの。二人きりじゃない以上、会話の内容には気を遣わなければならない。


「エメットは元気そうだね。前見た時のまんま。ちっとも変わってなくて安心しちゃった」

「失礼な。これでもあれから五センチも身長が伸びたんだぞ?」

「えぇ~~? とてもそうは見えなかったけど。未だにわたしの方が身長高いんじゃない?」


 クスクス笑いながら、わたし達はエリーの淹れてくれたお茶を飲む。
 こんな風に素の自分が出せるのは、本当に久しぶりのことだった。上品に振る舞わなきゃいけない、王族らしく毅然と、背伸びをしてなきゃいけないって分かっているけど、幼馴染の前でまでそんな風にはいられない。恥ずかしいし、単純に嫌だもの。おじいちゃんには全力で隠すつもりだし、アダルフォやエリーならきっと許してくれる。


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