実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
(どういうこと?)


 お父さんやお母さん、エメットからの手紙なんて、ただの一度も届いたことがない。きっと検閲のせいで、わたしの所に来るのが遅れているんだろうって、ずっと自分に言い訳していた。だって、存在すら忘れられて、手紙すら送ってもらえないんだって思いたくなかったから。


(それすら違っていたってこと?)


 エリーやアダルフォも困惑し、互いに顔を見合わせている。エメットも怪訝な表情をしながら、わたしのことを見つめていた。


「…………あっ、だけどさ、この間お前、刺繍入りのハンカチを作っただろう? その時、お前の両親が『ライラから初めて手紙が届いた』って喜んでたんだ! だから俺は『ライラは俺達を忘れたわけじゃないんだ』って思って、城に会いに来てたんだけど」

「そっ……そんな⁉」


 その瞬間、エリーが膝からガクッと崩れ折れた。アダルフォが支えているけど、顔面蒼白で今にも泣き出しそうな表情をしている。


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