実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「エリー? どうしたの?」


 尋ねながら、わたしはエリーの元へと駆け寄る。


「あ……あぁ…………」


 カタカタと震え、苦し気に眉根を寄せるエリーの手のひらをわたしは握る。


「落ち着いて? 体調が悪いの? わたしがこんな遅くに仕事させたから……」


「姫様……も、申し訳ございません!」


 エリーはそう言って、床に擦りつけんばかりに頭を下げた。


「エリー?」


 思わぬ反応に、わたしは目を丸くすることしかできない。普段冷静なアダルフォからも相当な動揺が見られた。


「わたくし……わたくしは、姫様の…………姫様からご両親へのお手紙とハンカチを、ランスロット様へ届けることが出来ませんでした」

「え?」


 顔を上げる様に伝えても、エリーは頑なに頭を横に振る。わたしは戸惑いに目を瞬いた。


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