実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「やっぱりわたしはドレスよりこういう格好の方が楽だし性に合ってるわ。身体がスッキリと軽くて気持ち良いの」

「ふぅん……さっきの格好も似合ってはいたけどな」

「えっ……嘘! エメットが褒めてくれるなんて思わなかったわ」


 驚きに目を見開けば、エメットは恥ずかし気に頬を染め、フイと顔を逸らす。


「……やっぱり言わなきゃ良かった」

「ごめんごめん。あまりにも新鮮だったから、つい。
だけど、ありがとう。似合ってたって言って貰えて嬉しい」


 エメットはお世辞を言うタイプじゃないし、もう二度とあんな格好をすることは無いだろう。そう考えると、エメットにあの姿を見て貰えて良かった、って思う。


「別に、俺なんかに褒めてもらわなくても、ライラには婿候補が何人もいるんだろう?」

「へ?」


 半ば拗ねたような表情で、エメットはこちらを流し見る。わたしは瞼を瞬かせつつ、エメットに先を促した。


「新聞で話題になってたぞ。姫君は将来の伴侶に一体誰を選ぶのか――――ってさ」

「何それ」


 わたしが知らない間に、そんなことまで噂が出回っていたらしい。噂――――というよりも、王室がある程度の情報操作をしているのだろうから、敢えて流した情報、というのが正しいだろう。


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