実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
25.変わらない朝
数か月ぶりの我が家。数か月ぶりに眠る自分のベッド。
だけどお布団はふかふかと柔らかく、干したてのお日様の香りがした。
「おはよう、ライラ」
朝、キッチンに向かうと、お母さんが笑顔で出迎えてくれる。
野菜がたくさん入ったスープの香り。温かい湯気が立ち上る。多分中身は昨夜の余り物を無秩序にぶち込んであるんだと思う。だけど、それがとっても美味しいんだってことをわたしは知っていた。
(お母さんらしいなぁ)
少し焼き過ぎたパンの香りが食欲をそそり、鮮やかな果物のジャムが食卓に並んでいる。
お城では完全無欠の食事しかテーブルに並ばなかったうえ、毒見後の冷たい食事しか食べられなかった。だから、こんな風に温かい食事を見るのは久しぶりだ。
「お腹空いたでしょう? すぐに朝ごはんにしましょう?」
温かな笑顔。まるで昨日までの日々が嘘みたい――――城に連れて行かれるまでに過ごしていたのと全く同じ朝だった。
何ら特別なことは無い。だけど、それが物凄く嬉しい。
「うん! もう、お腹ペコペコ」
瞳に薄っすら溜まった涙を拭って、わたしは席に着いた。
だけどお布団はふかふかと柔らかく、干したてのお日様の香りがした。
「おはよう、ライラ」
朝、キッチンに向かうと、お母さんが笑顔で出迎えてくれる。
野菜がたくさん入ったスープの香り。温かい湯気が立ち上る。多分中身は昨夜の余り物を無秩序にぶち込んであるんだと思う。だけど、それがとっても美味しいんだってことをわたしは知っていた。
(お母さんらしいなぁ)
少し焼き過ぎたパンの香りが食欲をそそり、鮮やかな果物のジャムが食卓に並んでいる。
お城では完全無欠の食事しかテーブルに並ばなかったうえ、毒見後の冷たい食事しか食べられなかった。だから、こんな風に温かい食事を見るのは久しぶりだ。
「お腹空いたでしょう? すぐに朝ごはんにしましょう?」
温かな笑顔。まるで昨日までの日々が嘘みたい――――城に連れて行かれるまでに過ごしていたのと全く同じ朝だった。
何ら特別なことは無い。だけど、それが物凄く嬉しい。
「うん! もう、お腹ペコペコ」
瞳に薄っすら溜まった涙を拭って、わたしは席に着いた。