実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「だけどね、ライラ。たとえ殿下に会うことが出来なくても、手紙が一枚も来なくても、ペネロペは幸せだった。何度も何度もお腹を撫でながら、毎日嬉しそうに笑っていたわ。貴方が居るから。殿下との子である貴方が居るから、ペネロペは幸せだった。
本当はあの子だって、自分の手であなたを育てたかった――――それなのに、今日まであの子のことを話してあげられなくて、ごめんなさい」
嗚咽を漏らすお母さんをお父さんが抱き寄せて、一緒に涙を流している。わたしは大きく首を横に振った。
「そんなこと、思わなくて良い! だって、わたしにとっては二人とも、大事な大事なお父さんとお母さんだもん! 二人がわたしにくれた愛情は本物だって知ってるんだから」
十六年もの間、わたしは何の疑いもなく、二人の子として育ってきた。それは、生みの親と同じかそれ以上に、二人がわたしに愛情を注いでくれたからに他ならない。
「ありがとう、ライラ。そう言って貰えると、とても嬉しいわ。
だけど本当はね、わたし達はもっと早くにあなたの出生の秘密を打ち明けるつもりだったの。そうしないと、ペネロペやクラウス殿下が気の毒で……二人があなたのことを心から愛していたことが伝わらないんじゃないかって。だけど」
ずっと思い悩んでいたのだろう。お母さんは表情に苦悩の色を滲ませている。
「――――――これを、ライラに読んでみて欲しいの」
そう言って取り出したのは、一通の古びた手紙だった。一目で上質だと分かる紙に、丁寧で綺麗な文字が並ぶ。署名を見て合点がいった。これは王太子様――――もう一人のお父さんから、お母さんに向けて送られた手紙だ。
深呼吸を一つ、紡がれた想いへと目を落とした。
本当はあの子だって、自分の手であなたを育てたかった――――それなのに、今日まであの子のことを話してあげられなくて、ごめんなさい」
嗚咽を漏らすお母さんをお父さんが抱き寄せて、一緒に涙を流している。わたしは大きく首を横に振った。
「そんなこと、思わなくて良い! だって、わたしにとっては二人とも、大事な大事なお父さんとお母さんだもん! 二人がわたしにくれた愛情は本物だって知ってるんだから」
十六年もの間、わたしは何の疑いもなく、二人の子として育ってきた。それは、生みの親と同じかそれ以上に、二人がわたしに愛情を注いでくれたからに他ならない。
「ありがとう、ライラ。そう言って貰えると、とても嬉しいわ。
だけど本当はね、わたし達はもっと早くにあなたの出生の秘密を打ち明けるつもりだったの。そうしないと、ペネロペやクラウス殿下が気の毒で……二人があなたのことを心から愛していたことが伝わらないんじゃないかって。だけど」
ずっと思い悩んでいたのだろう。お母さんは表情に苦悩の色を滲ませている。
「――――――これを、ライラに読んでみて欲しいの」
そう言って取り出したのは、一通の古びた手紙だった。一目で上質だと分かる紙に、丁寧で綺麗な文字が並ぶ。署名を見て合点がいった。これは王太子様――――もう一人のお父さんから、お母さんに向けて送られた手紙だ。
深呼吸を一つ、紡がれた想いへと目を落とした。