実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「ライラ?」


 そう言って国王様――――おじいちゃんは茶目っ気たっぷりに微笑む。わたしは唾を呑み込みつつ「おじいちゃん」と呟いた。


「あぁ……! 聞いたかいランスロット? 孫が私を『おじいちゃん』って!」


 おじいちゃんは何とも嬉しそうな表情で騎士のおじさんを振り返る。どうやら騎士はランスロットという名前らしい。


「陛下――――嬉しいのは分かりますが、もうすぐクラウス様の葬儀が始まります。そろそろご準備を」


 そう言って、困ったような、半ば呆れたような表情でランスロットが頭を下げる。


「――――――ああ、そうだね」


 おじいちゃんがそう口にしたその瞬間、この場の空気が一気にピンと張り詰めた。重たい何かが頭の上に乗っかっているかのような重圧感と、背中がビリビリと震えるような緊張感に、わたしはゴクリと唾を呑む。


「さぁ行こうか、ライラ」


 至極当然といった表情でおじいちゃん――――いや、国王様がわたしへ腕を差し出す。思わず「はい」と口にして、わたしは国王様の後に続いた。


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