実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
【2章】婿選び編
33.帰還
目の前に聳え立つ美しく荘厳な城。初めて連れてこられた時には感じなかった、歴史や重みを強く感じる。
この国で暮らす何百、何千万人もの人々の命と幸せがここに――――わたし達に委ねられている。
重い。けれど不思議と辛くはない。
(本当に戻って来たんだなぁ)
ふぅ、と息を吐きつつ笑顔を浮かべると、何だか俄然やる気が湧いてきた。
「お帰りなさいませ、姫様」
振り向きざま、掛けられた声に目を瞠る。恭しく頭を下げる何百人もの人々。この城で働く使用人や文官、騎士達だ。忙しい中、わざわざ出迎えに来てくれたらしい。
(不義理を働いたのはわたしなのに)
嬉しさと申し訳が綯交ぜになりつつ、わたしはグッと胸を張る。
王族として生きて行く覚悟をしたのだもの。彼等に情けない表情は見せられない。
「ありがとう。今戻りました」
言えば皆、とても嬉しそうに目を細める。先頭を陣取った侍女のエリーなんて、感極まった様子で涙ぐんでいた。他の侍女達も、一緒になって泣き笑っている。
「参りましょう」
「はい!」
侍女達は涙を拭い、わたしの後へと続く。穏やかな表情を浮かべたアダルフォが、その後に続いた。
この国で暮らす何百、何千万人もの人々の命と幸せがここに――――わたし達に委ねられている。
重い。けれど不思議と辛くはない。
(本当に戻って来たんだなぁ)
ふぅ、と息を吐きつつ笑顔を浮かべると、何だか俄然やる気が湧いてきた。
「お帰りなさいませ、姫様」
振り向きざま、掛けられた声に目を瞠る。恭しく頭を下げる何百人もの人々。この城で働く使用人や文官、騎士達だ。忙しい中、わざわざ出迎えに来てくれたらしい。
(不義理を働いたのはわたしなのに)
嬉しさと申し訳が綯交ぜになりつつ、わたしはグッと胸を張る。
王族として生きて行く覚悟をしたのだもの。彼等に情けない表情は見せられない。
「ありがとう。今戻りました」
言えば皆、とても嬉しそうに目を細める。先頭を陣取った侍女のエリーなんて、感極まった様子で涙ぐんでいた。他の侍女達も、一緒になって泣き笑っている。
「参りましょう」
「はい!」
侍女達は涙を拭い、わたしの後へと続く。穏やかな表情を浮かべたアダルフォが、その後に続いた。