実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「バルデマー様、今の貴方は頭に血が上っていらっしゃるご様子。護衛騎士として、貴方をライラ様に近付けたくありません。どうぞ、お引き取りください」
鋭い空気を身に纏い、アダルフォがバルデマーの前に進み出る。普段アダルフォは、こう言う場で滅多に口を挟まない。余程目に余ったのだろう。
静かな睨み合いが続く。何でもない振りをしながら、わたしは密かに息を呑む。
バルデマーはしばらくの間無言でその場に座っていたものの、ややして静かに立ち上がった。
「分かりました。今日の所はこれで失礼いたします」
いつもと同じ、王子様みたいに綺麗な穏やかな表情でバルデマーが微笑む。それからわたしの手を恭しく握り、そっと触れるだけのキスをした。
「姫様……」
熱い眼差し。縋るような声音。物凄い罪悪感がわたしを襲う。
「またね、バルデマー」
平静を装ってそう口にすれば、彼は寂しそうに目を細め、それから部屋を出ていった。
鋭い空気を身に纏い、アダルフォがバルデマーの前に進み出る。普段アダルフォは、こう言う場で滅多に口を挟まない。余程目に余ったのだろう。
静かな睨み合いが続く。何でもない振りをしながら、わたしは密かに息を呑む。
バルデマーはしばらくの間無言でその場に座っていたものの、ややして静かに立ち上がった。
「分かりました。今日の所はこれで失礼いたします」
いつもと同じ、王子様みたいに綺麗な穏やかな表情でバルデマーが微笑む。それからわたしの手を恭しく握り、そっと触れるだけのキスをした。
「姫様……」
熱い眼差し。縋るような声音。物凄い罪悪感がわたしを襲う。
「またね、バルデマー」
平静を装ってそう口にすれば、彼は寂しそうに目を細め、それから部屋を出ていった。