実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
『なにを言っているんだい? 君は僕の願いを叶えてくれただろう?』
クラウスはそう言って幸せそうに笑う。私の頬を撫で、それからそっと涙を流した。
『ゼルリダ――――君のお陰で、ライラは今日まで自由に生きることが出来た。もしもあの子を城に呼び寄せていたら、君はもっと心安くいられただろう? 跡継ぎを望む声に悩まされることもなかった筈だ。それなのに、君はいつも自分が悪者になって――――僕の願いを叶えてくれた。本当にすまなかった』
涙が零れる。伝えたいことは沢山ある筈なのに、言葉にならなかった。ありがとうも、ごめんねも、まだまだ全然言い足りていない。こんな時まで私は、どうしようもない出来損ないで。
『最後にワガママを言っても良いかな?
ライラが――――もしもあの子が王族としての生活を望まないなら――――自由にしてやっては貰えないだろうか?』
夫の言葉に息を呑む。
彼が亡くなれば、お義父様は間違いなくライラを王女として迎え入れるだろう。私やランハートではなく、クラウスの血を継いだ孫娘を、次の王にと望むに違いない。
けれどそこには、あの子の意思も、夫の意思も、反映されることは無い。ただ国を護る駒として、ライラは生きていかざるを得なくなる。
『約束します』
何も出来なかった私だから。
せめてもの罪滅ぼしに、その位はさせて欲しい。
それが、あの人の最後の願いだから――――。
クラウスはそう言って幸せそうに笑う。私の頬を撫で、それからそっと涙を流した。
『ゼルリダ――――君のお陰で、ライラは今日まで自由に生きることが出来た。もしもあの子を城に呼び寄せていたら、君はもっと心安くいられただろう? 跡継ぎを望む声に悩まされることもなかった筈だ。それなのに、君はいつも自分が悪者になって――――僕の願いを叶えてくれた。本当にすまなかった』
涙が零れる。伝えたいことは沢山ある筈なのに、言葉にならなかった。ありがとうも、ごめんねも、まだまだ全然言い足りていない。こんな時まで私は、どうしようもない出来損ないで。
『最後にワガママを言っても良いかな?
ライラが――――もしもあの子が王族としての生活を望まないなら――――自由にしてやっては貰えないだろうか?』
夫の言葉に息を呑む。
彼が亡くなれば、お義父様は間違いなくライラを王女として迎え入れるだろう。私やランハートではなく、クラウスの血を継いだ孫娘を、次の王にと望むに違いない。
けれどそこには、あの子の意思も、夫の意思も、反映されることは無い。ただ国を護る駒として、ライラは生きていかざるを得なくなる。
『約束します』
何も出来なかった私だから。
せめてもの罪滅ぼしに、その位はさせて欲しい。
それが、あの人の最後の願いだから――――。