実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「バルデマーか。おまえには後で声を掛けようと思っていた」


 おじいちゃんは彼をバルデマーと呼んだ。二人はお悔やみの挨拶を交わしつつ、親し気に言葉を交わす。
 バルデマーって人はまだ十代だろうにとても堂々としていた。多分わたしの一つか二つ上なぐらい。落ち着いているし、気品漂う感じで、何だか少し憧れてしまう。


「姫様」


 その時、彼がわたしを見つめながらそう呼んだ。反射的に肩を震わせつつ、わたしは「はいっ」と返事をする。


「私のことはバルデマーとお呼びください。
お父上の――――クラウス殿下のこと、本当に残念に思います。まだお若かったのに」

「――――そう、ですね…………」


 わたしに向かってお悔やみの言葉を述べられるのは初めてで、どう答えたら良いものかドギマギしてしまう。だって『昨日まで娘だって知らなかったんです!』と言う訳にもいかないし、かといって身内面して涙を流すのもなんか違う。
 そんなことを思っていたら、バルデマーはふふ、と哀し気な微笑みを浮かべた。


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