実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
58.実はわたし、お姫様でした!
その日、宮殿の空気は凛と張り詰めていた。
鳴り響くファンファーレ。真紅色をしたベルベットのケープをドレスを着た美しい女官達が持ち、扉が開くその時を、固唾を飲んで待っている。
わたしは今日、王太女に即位する。
ゆっくりと、大きく深呼吸をし、目配せを一つ。
「参りましょう」
女官たちを振り返れば、「はい!」と答えが返ってくる。
それを合図に、広間へ続く扉が開いた。
ずらりと並んだ参列者達。
視線が一斉に集まる。
ここまでに尽力してくれた、たくさんの人々の顔を思い浮かべつつ、わたしはおじいちゃんの元へと向かう。
おじいちゃんは眩しげに瞳を細め、わたしのことを待っていた。目尻がほんの少しだけ光った気がして、わたしは内心微笑みを浮かべる。
厳格で誇り高く、冷徹な国王。
けれど、おじいちゃんだって本当は、誰にも見せられない弱さや迷いを抱えている。
これからはわたしが隣に立って、おじいちゃんを支えていかなきゃいけない。
胸元にはお父さん――クラウス殿下がゼルリダ様に贈った大事な宝石が輝く。
わたしは二人の優しさに支えられ、幸せな日々を過ごすことができた。貴族や王族のしがらみから逃れ、伸び伸びと。
普通の女の子として生きることができた。
今度はわたしが、誰かの幸せを守る番。
最前列で涙を流す、お父さんとお母さんに向かってそっと微笑む。
鳴り響くファンファーレ。真紅色をしたベルベットのケープをドレスを着た美しい女官達が持ち、扉が開くその時を、固唾を飲んで待っている。
わたしは今日、王太女に即位する。
ゆっくりと、大きく深呼吸をし、目配せを一つ。
「参りましょう」
女官たちを振り返れば、「はい!」と答えが返ってくる。
それを合図に、広間へ続く扉が開いた。
ずらりと並んだ参列者達。
視線が一斉に集まる。
ここまでに尽力してくれた、たくさんの人々の顔を思い浮かべつつ、わたしはおじいちゃんの元へと向かう。
おじいちゃんは眩しげに瞳を細め、わたしのことを待っていた。目尻がほんの少しだけ光った気がして、わたしは内心微笑みを浮かべる。
厳格で誇り高く、冷徹な国王。
けれど、おじいちゃんだって本当は、誰にも見せられない弱さや迷いを抱えている。
これからはわたしが隣に立って、おじいちゃんを支えていかなきゃいけない。
胸元にはお父さん――クラウス殿下がゼルリダ様に贈った大事な宝石が輝く。
わたしは二人の優しさに支えられ、幸せな日々を過ごすことができた。貴族や王族のしがらみから逃れ、伸び伸びと。
普通の女の子として生きることができた。
今度はわたしが、誰かの幸せを守る番。
最前列で涙を流す、お父さんとお母さんに向かってそっと微笑む。