実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「足りないもの……?」
一体どういうことだろう。ほんのりと首を傾げたわたしに、おじいちゃんは身を乗り出してまた笑った。
「ライラ――――ここはおまえの部屋だよ」
「……え? わたしの部屋って…………」
言いながら、わたしは大きく目を見開く。
街の中でもわたしの家は決して小さくはなかった。けれど、この部屋はそんなわたしの部屋よりも余程広い。
(ううん、そんなことより)
「おじいちゃん、わたしには部屋なんて必要ないわ。もう、ここに来ることは無いのに……」
小さく首を横に振りつつ、わたしは明確に意思表示をする。
だってわたしは、生まれてこの方会ったことも無かった王太子様の葬儀に来ただけだもの。ここを出たら、煌びやかな王室とか貴族の世界から離れて、お父さんとお母さんの元に帰るのに。
だけど丁度その時、部屋の扉をノックする音がした。
「入りなさい」
おじいちゃんが至極冷静な声音でそう言う。
現れたのは騎士のランスロットだった。傍らに年若い別の騎士を連れている。褐色に金色が混ざったみたいな変わった髪色をしている、鋭い目つきの男性だった。近寄りがたいというか、なんだか少し怖い感じがして、わたしは思わず視線を逸らす。
一体どういうことだろう。ほんのりと首を傾げたわたしに、おじいちゃんは身を乗り出してまた笑った。
「ライラ――――ここはおまえの部屋だよ」
「……え? わたしの部屋って…………」
言いながら、わたしは大きく目を見開く。
街の中でもわたしの家は決して小さくはなかった。けれど、この部屋はそんなわたしの部屋よりも余程広い。
(ううん、そんなことより)
「おじいちゃん、わたしには部屋なんて必要ないわ。もう、ここに来ることは無いのに……」
小さく首を横に振りつつ、わたしは明確に意思表示をする。
だってわたしは、生まれてこの方会ったことも無かった王太子様の葬儀に来ただけだもの。ここを出たら、煌びやかな王室とか貴族の世界から離れて、お父さんとお母さんの元に帰るのに。
だけど丁度その時、部屋の扉をノックする音がした。
「入りなさい」
おじいちゃんが至極冷静な声音でそう言う。
現れたのは騎士のランスロットだった。傍らに年若い別の騎士を連れている。褐色に金色が混ざったみたいな変わった髪色をしている、鋭い目つきの男性だった。近寄りがたいというか、なんだか少し怖い感じがして、わたしは思わず視線を逸らす。