実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
(よく考えたら、そりゃ嫌だよね)


 葬儀の時のおじいちゃんとのやり取りを思い出すに、ゼルリダ様はわたしの存在を知っていらっしゃったようだ。だけど、夫に自分以外の女の子どもがいるなんて、あまり良い気はしないだろう。その子どもが、夫亡き後家に押し掛けてくるなんて、当然嫌に決まっている。


(仲良くなる……のは無理だろうなぁ)


 侍女の子たちは優しいけれど『姫様』としてしかわたしと接してくれない。好きな騎士や文官、オシャレや、街に遊びに行った時の話をわたしにも聞かせて欲しいのに、決してそうしてはくれないのだ。
 その点、ゼルリダ様は王太子妃で、不本意ながら王女であるわたしと身分の近い同性だ。仲良くできたら良いのになぁなんて、叶わぬ夢を抱いていたりする。


(まずは目の前のタスクを頑張らないと、ね)


 分厚い本を手に部屋へと入って来た講師を前に、わたしは心の中でため息を吐いた。
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