実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜

9.アダルフォの提案

 それからバルデマーとわたしは、数日おきにお茶をするようになった。
 どうやら彼はマメな性質らしく、近況だとか、今取り組んでいる仕事の話だとか、ちょこちょこ手紙で書いて寄こす。文末にはいつも『姫様と直接お話がしたい』と書き添えられているので、そのタイミングでお茶の約束を取り付けるのだ。

 何でかはよく分からないけど、貴族とか王族にとってのお茶ってのは毎日の必須ルーティーンみたいなものらしく、わたし付の文官も、どんなに忙しくてもお茶の時間は融通してくれる。そんなこんなで、わたしにとってバルデマーは身近な人になりつつあった。



「姫様はバルデマーがお気に召したのですか?」


 ある日のこと、アダルフォからそんなことを尋ねられた。


「そう思う?」


 尋ね返しながら、わたしはそっと首を傾げる。
 彼は基本的に護衛に徹しているため、わたしがすることに口出しをしない。


(きっと、よっぽど気になったんだろうなぁ)


 わたし自身、そろそろ自分の考えを整理しておきたいし、アダルフォがどうしてそう思ったのかも結構気になる。じっと見つめていたら、アダルフォは小さく首を横に振った。


「いえ――――初めはお気に召したのだろうと思っていたのですが、最近はよく分からなくなってきました」


 アダルフォの分析は実に的確だった。わたしは思わず笑い声を漏らしつつ、コクリと小さく頷いた。


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