実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜

10.聖女シルビア

 アダルフォから提案があった翌日、早速聖女シルビアとのお茶会が実現した。


「お初にお目にかかります。シルビアと申します」


 シルビアは実に可憐な女性だった。
 ほんのりとピンクがかった柔らかい髪といい、真ん丸と大きな瞳といい、小柄で華奢な所といい、ありとあらゆる『可愛い』が詰まっていて非の打ちどころがない。何だか物凄く良い香りがするし、周りに花が咲いているみたいな華やかさがある。わたしよりも年上なのに、ついつい愛でたくなるというか――――庇護欲みたいなものを駆りたてられた。


(なんて、実際の所シルビアは、国を護ってくれているのだけど)


 後継者教育を受ける中で、聖女の果たしている役目について、既に講義を受けた。
 我が国の聖女ってのは血筋じゃなく、王家が保管している宝玉によって選ばれるものらしい。しかも、生まれた時から能力を持っているわけでは無いらしく、聖女に選ばれてから初めてその力を得るんだとか。外敵から国を護るための結界を張ったり、人々の病を治したりと、責任重大な要職なんだとか。


(一緒にしたら失礼かもしれないけど)


 アダルフォも言っていた通り、ある日突然『姫』だと言われたわたしに、何となく境遇が似ている。


(いや、シルビアの方は聖女としての能力があるんだし、未だ何もできないわたしとは全然違うんだけど)


 正直言って『王族らしさ』だとか『国を統治するために必要な能力』ってのは、目には見えないものだから、目に見える能力を持ったシルビアが若干羨ましかったりもする。


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