実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「父が美しいものが好きなんですよ。有名無名問わず、良いと思った作品を国内外から取り寄せているんです。あの人は早くに宮廷を離れて正解でしたね。社交性はありますが、政治に必要な、駆け引きや策略の類が苦手な人なんです」
「そうなの? だけど、ランハートのお父様ってゼルリダ様の弟にあたるのでしょう?」
「ええ、そうですよ。でも、あの二人、ちっとも似てないんですよね。仲も良いとは言い難いですし、姉弟喧嘩に僕を巻き込むのは止めて欲しいなぁって心から思ってます」
「ふぅん……そうなんだ」
正直言ってわたしは、ゼルリダ様のことがよく分からない。城内で遭遇することも殆ど無いし、噂もあまり聞かないもの。
いつだったか、一度だけゼルリダ様とニアミスしたことがあるんだけど、その時は物凄い勢いで顔を背けられてしまった。どうやらわたしのことがお気に召さないらしい。分かっていてもあんまり良い気はしないので、記憶から消していたのだけど――――。
「ところで姫様、今夜のドレス、よくお似合いですよ」
ふと見れば、ランハートがウットリと瞳を細めてこちらを見つめていた。途端に気恥ずかしくなったわたしは、動揺を隠しつつ、ゆっくりと大きく息を吸う。
「そうなの? だけど、ランハートのお父様ってゼルリダ様の弟にあたるのでしょう?」
「ええ、そうですよ。でも、あの二人、ちっとも似てないんですよね。仲も良いとは言い難いですし、姉弟喧嘩に僕を巻き込むのは止めて欲しいなぁって心から思ってます」
「ふぅん……そうなんだ」
正直言ってわたしは、ゼルリダ様のことがよく分からない。城内で遭遇することも殆ど無いし、噂もあまり聞かないもの。
いつだったか、一度だけゼルリダ様とニアミスしたことがあるんだけど、その時は物凄い勢いで顔を背けられてしまった。どうやらわたしのことがお気に召さないらしい。分かっていてもあんまり良い気はしないので、記憶から消していたのだけど――――。
「ところで姫様、今夜のドレス、よくお似合いですよ」
ふと見れば、ランハートがウットリと瞳を細めてこちらを見つめていた。途端に気恥ずかしくなったわたしは、動揺を隠しつつ、ゆっくりと大きく息を吸う。