英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
終章 予言の精霊の祝福
 何故、こんな事になっているのだろうか。朝一番、ティーゼは申し訳なさそうな表情をするクラバートを前に、ゆっくりと瞬きした。


 昨夜、ティーゼは居酒屋でたっぷりと飲んで、そこにいた酔っ払いの男女と大いに盛り上がった。国のお祝い騒ぎで料金も安く、もうこれ以上何も入らないというぐらいに食べて飲んだ。悪酔いはした事がなかったので、翌朝も快適な目覚めだったのだが。


 宿を出たところで、クラバートか直立不動で待っていた。そして、手短に舞踏会の話を聞かされたのだ。

 マーガリー嬢がルイの誘いを受けたのは、昨日の事である。とはいえ、その時点の話までは「まぁルイさんにとっては、その方が喜ばしい事なのかもしれないな」と悠長に構えていたのだが、ティーゼ自身も参加する事が決定されていた下りには、心底驚かされた。

 しかも、その決定は覆せないらしい。既に段取りも整えられているのだとか。
< 193 / 218 >

この作品をシェア

pagetop