だって、恋したいもん!
第六十二話 公認
マックを出て四人で楽器屋へ向かい始めた。
新京極の中は日曜日と言うこともあって賑わっていた。
修学旅行生の姿も見られた。
美波「ねぇねぇ、西野くん……ベースていくらぐらいする?」
義雄「えー、まぁピンきりだけど…でもみんな5万前後ぐらいの使ってるかなぁ?」
美波「へぇ~、そうなんだ」
義雄「雑誌の裏表紙の『初心者セット』とかはやめた方がいいよ! あと中古も!」
美波「あ、そうなの?」
義雄「うん、やっぱり楽器屋でちゃんと見て買った方がいいよ」
義雄「もし予算的に厳しかったらもっと安いのもあるし」
美波「安いのってどれくらい?」
義雄「うーん…2万円代でもあるにはあるけどね…」
美波「へぇー、安いのあるんだね」
義雄「うん、でもやっぱりちゃんと名の通ったメーカーの買った方がいいと思うよ」
義雄「ネックが反ってきたりしたら使い物にならないから」
美波「ふぅ~ん…これからも色々と教えてね♪」
義雄「うん、もちろん♪」
美波「あっ!理佐ごめーん、西野くん独占しちゃった!♪」
理佐「えー、別に……」
美波「妬いたでしょー?」
理佐「え!? 妬いてなんかなーぃ!!」
美波「うそばっかりぃー!♪」
理佐「え、もぉー!やめてよー!」
義雄「アハハ、また遊ばれてるね♪」
理佐「もぉー! 西野くんもー!!」
そして楽器屋に到着した。
義雄「地下がエレキのフロアだよ」
と、西野くんに先導されて階段を降りて行った。
義雄「えーとぉ、どっちから見る?ギター?ベース?」
美波「あたしあたし!ベースから! 由依いい?」
由依「あ、いいよあたし適当に見てるから」
美波「いぇーい、じゃあベースからね♪」
義雄「じゃあこっちだね」
義雄「えっとぉ…上の方は高いのばっかだから…」
美波「わっ!すごっ!50万円とかしてるよ!?」
義雄「うん、このへんはプロとか大人用だね!」
美波「高っ!!」
義雄「この辺りのがいいかなぁ~」
と、彼がスタンドに立ててあるのを見ていた。
義雄「色とかは? どんなのがいいの?」
美波「えー、やっぱカワイイのがいいなぁ~」
義雄「一応ね、ショートスケールとかもあるけど……小池さん手の大きさとかは?」
と、彼が美波の手をとった。
美波「やぁーん、理佐ごめーん…西野くんと手繋いじゃったぁ~」
義雄「え………」
理佐「え…もぉー!関係ないじゃん!」
義雄「あ、ごめん……」
理佐「え、もぉー…何で西野くんが謝るのぉー!」
義雄「あ、いや…何か……ごめん……」
美波「キャハハ!♪」
理佐「もぉー!美波遊んでないで早く選びなよぉー!」
美波「ごめんごめん♪ホントに妬いてるじゃん♪」
理佐「もぉー!」
義雄「あ、じゃあこれなんかは?」

美波「おぉー! ピンクでむっちゃ可愛ぃ~♪」
義雄「うん、メーカーもフェルナンデスだからいいと思うよ♪」
美波「わー、マジ一目惚れだわー♪ 西野くんセンスいいしあたしのことわかってるぅー♪」
義雄「一回音出させてもらう?」
美波「え、いいの?」
義雄「店員さん呼んでくるね!」
と、言って彼が店員さんを探しに行ってくれた。
理佐「もぉー!美波ぃー!!」
美波「アハッ♪だって理佐面白いんだもーん♪」
理佐「ちょっとぉー!からかわないで!!」
美波「ごめんごめん♪」
義雄「あ、お待たせ!呼んできたよ」
店員「おぉー!お前っ……彼女か…?」
美波「そぉでーす♪」
店員「おぉー……この前の子も可愛いかったけどこの子も可愛いなぁー♪」
美波「やだぁー♪♪」
義雄「いや、彼女じゃないし……!」
と、店員さんが私に気がつき…
店員「あれ…?この前の彼女さんじゃん!?」
と、言った。
義雄「いや、だから違うって!どっちも彼女じゃないしー!」
義雄「もぉー!山岡さんっ!つまんないこと言ってたらワタナベ楽器に行くよ!?」
店員「うぉー!すまんすまん……で?どれ繋いだらいいの?」
義雄「これ!フェルナンデスの…」
店員「オッケーオッケー、ちょっと待ってな」
義雄「ごめんね、二人とも…」
美波「えー、あたし西野くんの彼女になりたいのにぃ~♪」
義雄「えぇー!!」
理佐「ちょっと美波ぃー!!」
店員「おぉーい!お前っ…モテモテやないかーい!」
義雄「いゃ、冗談に決まってるでしょ!早くー!」
そして店員さんがベースをアンプに繋いでくれた。
店員「オッケー、これで弾いてみな♪」
義雄「小池さん、どうぞ」
美波「えー、出来るかなぁー?」
と、美波がぎこちない手つきで音を鳴らし始めた。
ボンッボンッ、と低い音が体に響いてきた。
美波「わー、すごーぃ♪」
義雄「どぉ?」
美波「よくわかんないけどカッコいぃー♪」
美波「あたし弾けないから西野くん弾いてみてよ!」
義雄「あー、うん…じゃあ…」
と、彼が美波からベースを受け取り弾き始めた。
ボボボボンッ♬ と店内に低いメロディーが響いた。
理佐「わ、すごーぃ♪」
美波「西野くんベースも弾けるんだ♪」
義雄「うん、まぁギターとほぼ一緒だから」
美波「どぉなの?そのベース……いぃ?」
義雄「うん、いい感じだと思うよ♪」
義雄「値段も3万円台だし…山岡さん、これちょっと短いの?
店員「おぉ、やっぱ女の子向けに5cmぐらい短くなってんな」
美波「へぇー、そうなんだ…じぁあこれにしょっかなー♪」
美波「西野くん、他は何買えばいいの?」
義雄「うん、じゃあストラップとピックと…あとチューナーは最低いるかなぁ」
義雄「アンプとかはどうする?家で音出せる?」
美波「あー、どうだろ?」
義雄「まぁ練習だけならアンプ無くても全然大丈夫だし」
義雄「じゃあ山岡さん、あと小物系見せてあげてくれる?」
店員「オッケー!じゃあ新しい方の彼女さん、こちらへ♪」
義雄「だから彼女じゃないしっ!」
美波「キャハッ♪店員さん公認だ♪♪」
理佐「もぉー、ダメだあの子……」
義雄「じゃあ小林さんの方行こうか?」
理佐「うん♪」
と、言って今度はギターのコーナーへと行った。
第六十三話へつづく…