だって、恋したいもん!
第六十五話 狂犬
月曜日…
朝のホームルーム前に由依と話していると…
「渡邉さーん」
と、言って彼が教室へ入ってきた。
義雄「これ、言ってた譜面……それとテープも渡しとくね♪」
理佐「あ、うん…ありがとう」
義雄「その付箋ついてる曲だから」
と、彼が言う付箋のページを開けてみた。
んー、見た感じそんなに複雑ではなさそうだけど…
理佐「うん、じゃあ一度やってみるね」
義雄「うん、よろしく♪」
と、言って彼は教室を出ていった。
由依「頑張んなよ♪一緒にいられる時間が出来たんだから♪」
理佐「え、うん……」
そうは言っても…
私はピアノをやっていたと言ってもクラシックばっかりで課題曲を与えられて弾いていただけ…
バンドなんて……
みんなで合わせるなんて出来るのかなぁ…
そんなことをぼんやり考えながら譜面を見ていると…
「理佐ぁー!由依ぃー!」
と、茜が掛け込んできた!

茜「ねぇねぇ、バンドやるんだって!?」
茜「軽音入るの?」
由依「あー、うん…話まわるの早いねー!」
茜「メンバーはそろってんの?」
由依「あたしギター、理佐がキーボード? で美波がベース…」
茜「だけ?」
由依「だけ!」
茜「ドラムとボーカルいないじゃん!?」
由依「うん、まだ…」
茜「あたしドラムやるよ!」
由依「え? あんた出来んの?」
茜「うん、小学校の時ちょこっとやってたから…練習すれば出来ると思うよ!」
理佐「え、でも茜テニス部は?」
茜「だって軽音て週一ぐらいでしょ?それぐらいなら顧問に言えば休ませてくれるよ!」
由依「大丈夫?女テニの顧問て怖いんでしょ?」
茜「あー、もうでも今のメンツじゃ色々無理なのわかってるしぃー」
茜「一度相談してみるわ!」
由依「まぁ茜がいいんなら……」
茜「うん、じゃあ今日の部活終わったら顧問に話してみるわー♪」
そう言って茜は走って教室を出ていった。
由依「やっぱ茜はパワフルだわ♪」
理佐「うん…大丈夫なのかな?」
由依「ねぇ~?」
由依「でも茜がやってくれるんならいよいよ現実味がわいてきたね♪」
理佐「うん……」
由依「まぁ、こっちはあくまでオマケだから…」
理佐「オマケ?」
由依「うん、そうだよ!本命はあんたと西野くんでしょ?♪」
理佐「え、あ…うん………」
由依「で、それすぐに弾けるの?」
理佐「うーん、まぁ曲覚えて弾いてみて…一週間ぐらいあれば少しは…」
由依「じゃあ三日でやんなさい!」
理佐「えーー!!三日ぁー!!?」
と、由依が狂犬の本性を表してきた!
第六十六話へつづく…