だって、恋したいもん!
第七十話 青春の空気
みんなでそんな何気ない話をしていると…
「あー、理佐ぁー!由依ぃー!やっぱここにいたー!」
と、美波がドアから覗き込んでいた。
理佐「あれ? 美波…どうしたの?」
美波「探してたんだよー」
理佐「え? 私…?」
美波「うん、キーボードの音が聞こえて」
美波「でも今日のバンドはキーボードいないのになぁ~て思ってピンときた!」
美波「さっきの西野くんに頼まれてた曲?」
理佐「あ、うん…」
美波「え? もう弾けるの? すごっ!!」
理佐「いや、まだ全部は…」
美波「いやぁ~愛の力だねぇ~♪」
理佐「ちょっと!!」
メンバー「おぃおぃおぃおーぃ!!」
メンバー「ヒュ~ヒュ~♪」
と、みんなにひやかされた。
義雄「おぃちょっとやめろよー!」
斉藤「なんだよー!お前っそれ目当てだったのかー?」
義雄「いや、違うって!」
橋本「よしおもついに春が来たかー!」
義雄「おーぃ!だからぁー…」
と、そんなやりとりを見て由依は爆笑していた。
美波「そんなことよりさ!!」
由依「あ、うん…で、どうしたの?」
美波「おぜちゃーん、入っといでよー♪」
尾関「え、いいの?」
と、三組の尾関梨香がひょっこりと顔を出した。

義雄「あれ? 尾関…どうしたの?」
義雄「いいよ、入っといでよ♪」
美波「おぜちゃんボーカルやってくれるって!♪」
由依「えー、うそぉー!? いいの?」
尾関「うん、あたし歌うの好きだから♪」
尾関「でも下手だよー…」
美波「うそぉー、おぜちゃんいい声してるし大丈夫だよ!♪」
尾関「そんなことないよぉー」
由依「え、でもこれでメンバー揃ったじゃん!♪」
美波「え? ドラムは?」
由依「茜がやるって」
美波「え? あの子出来んの?」
由依「なんか小学校の頃やってたんだって」
美波「へぇ~、そうなんだ!」
義雄「すごいじゃん!じゃあ新バンド結成じゃん!♪」
メンバー「イェーイ♪」
義雄「じゃあさー、来週から木曜は2バンド合同で練習しょうぜ!」
メンバー「やったぁー!これでむさくるしさがなくなるなー♪」
理佐「え、西野くん…大丈夫なの?」
義雄「うん、一応顧問とか先輩にはチラッと話してたから」
義雄「三年ももうすぐ引退だし…それにもともとあんまりやる気ないみたいだし、好きにしていいって言ってたから」
理佐「ごめんね、何か…」
義雄「大丈夫だよ! これで一緒にいられるね♪」
理佐「え………?♪」
メンバー「おぃおぃおぃー!暑いぞーこの部屋ぁー!!」
義雄「あ……いゃ……」
由依「アハハハハ、もう付き合っちゃえばいいのに!」
理佐「やだもぉー……♪」
美波「えー!楽器屋のお兄さん、西野くんの彼女はあたしだって言ってたじゃん!」
理佐「ダメぇー!!」
斉藤「おぃおぃ、お前らマジだなぁー!?♪」
と、教室は爆笑と甘酸っぱさで青春の空気に溢れていた。
第七十一話へつづく…