君の心が聞こえる。
扉が閉まっていてもわかる。
わたしは、人より耳がいいから。
「ん……保健室じゃないのって、なんか新鮮だね」
「……あぁ、あそこは今都合が悪いからね」
生々しい音に混じって聞こえてくる彼の言葉に、ぎくりとした。
都合が悪いって、完全にわたしのことだよね。
やっぱり怒ってるよなぁ。そりゃそうか。
それでも、さすがのわたしも最中に割り込んだりはしないよ。そこらへんの常識は一応あるつもり。
やっぱり今日はやめておこうと、踵を返したその時だった。
────"あぁ、やっぱ何してもつまんねぇ。死にたい。"
「っ!」
しっかり届いたその声に、ぴたりと足が止まる。
……あぁ、まただ。やっぱりまた聞こえてきた。