君の心が聞こえる。
それ以外の生々しい音も、声も、確かに聞こえてくる。
でも、やっぱり。
その雰囲気には明らかに似つかわしくない冷たい彼の"心の声"が、わたしには届いた。
わたしが変人だと言われる根源。わたしが普通じゃないその理由。
────わたしには、他の人には聞こえないか声が聞こえるから。
いわゆる、心の声、というやつ。
非現実的だと言われるかもしれない。
でも、物心ついた時から、わたしにはそんなへんな能力があった。
別に望んだ力じゃない。今だってこんな力手放したくて仕方ない。
それでも聞こえてしまうんだから仕方ないじゃないか。
おかげで、わたしは千堂恵という子に興味を持った。